
紙ロールの交換判断をリアルタイム化し、停止リスクと材料ロスの両方を抑えた製紙工場の事例です。
製紙工場の抄紙・加工ラインでは、巨大な原紙ロールを切れ目なく供給しながら生産を続けます。ロールがなくなる前に次のロールへつなぎ替える必要がありますが、実際の消費速度はラインの設定値だけでは決まりません。紙の坪量、含水率、巻きの偏り、滑り、張力調整、微停止の回数などによって、同じ直径のロールでも使い切るまでの時間が変化します。 従来は、担当者が残径表示、ライン速度、運転音、過去の経験を組み合わせて交換準備を始めていました。安全を見て早めに交換すると、まだ使える紙がロールに残り、日々の材料ロスとして積み上がります。一方、交換判断が遅れると紙切れが起き、ライン停止、再通紙、品質確認まで含めて復旧に時間がかかります。 特に品種切替や速度変更が重なる時間帯は予測が難しく、熟練者が常に現場を監視しなければならない状態でした。そこで、設備データから残り運転時間を常時更新し、交換の準備開始と実施タイミングを支援する仕組みの開発に着手しました。
ロール径だけでなく、現在のライン速度、加減速予定、紙の坪量、張力、停止履歴を組み合わせ、ロールを使い切るまでの残り時間を一定間隔で再計算します。速度変更や微停止が発生した場合も、予測時刻を自動で更新します。
交換そのものの時刻だけでなく、次ロールの搬送、芯棒の確認、接着テープの準備、作業員の移動に必要な時間を逆算し、「準備開始」「現場集合」「交換実施」の三段階で通知します。
次に流す紙の品種、幅、坪量、表裏、巻方向を参照し、接続可能なロールだけを候補として提示します。継ぎ目が後工程の重要区間に入らないよう、製品長と切断位置も考慮します。
実際の使い切り時刻が予測と大きく異なった場合、巻き緩み、径センサーのずれ、紙厚差、スリップなどの原因候補を残します。単に予測するだけでなく、設備や原紙の異常を振り返れるようにしました。
残り時間を継続的に更新することで、速度変更や小停止が重なった際も交換準備の遅れを防げるようになりました。担当者が常時ロール周辺を監視しなくても、必要なタイミングで行動できます。
担当者ごとに異なっていた早め交換の余裕幅を、設備データに基づいて適正化しました。紙切れを避けながら、使用可能な原紙を従来より最後まで使いやすい運用へ移行しました。
予測時刻、実施時刻、残紙量、予測誤差をロール単位で記録し、品種や設備条件別に確認できるようにしました。経験則だった交換判断が、改善可能な生産データとして蓄積されるようになりました。
設備から取得する時系列データをもとに紙の消費量を推定し、残り運転時間を継続的に更新します。予測値から交換準備に必要な時間を逆算し、次ロールとの接続可否や品種切替条件を確認したうえで、段階別の通知と候補ロールを生成します。
3カ月
250万円